
日本語には「なんとなく使っているけれど、本来の意味とは少しズレている言葉」が意外と多くあります。
日常会話でもSNSでも、みんなが当たり前に使っている表現ほど、実は本来の意味と違っていることも少なくありません。
そこでこの記事では、「意味や使い方が分かれやすい日本語」を20個ピックアップしました。
知っているつもりの言葉でも「え、そうだったの?」という驚きがあるはず。
文章を書くとき、SNSで発信するとき、そしてビジネスの場面でも、ちょっとした誤解を防ぐヒントになります。
まずは、今よく耳にする世間での使われ方を確認し、クイズ感覚で合っているかどうかを当ててください。
この記事の目次です
問題
問題.1
| 雨模様 |
| 今にも雨が降り出しそうな空模様のこと。 |
問題.2
| 役不足 |
| 役目が自分の能力より上で荷が重いこと。 |
問題.3
| 気が置けない |
| 気を使うべき相手で距離を置く人のこと。 |
問題.4
| 確信犯 |
| 悪いと分かっていながら、それをわざと行うこと。 |
問題.5
| 他力本願 |
| 自分で努力せずに他人任せにすること。 |
問題.6
| おざなり |
| 何もせず放置すること。 |
問題.7
| なおざり |
| 形だけ一応やっておくこと。 |
問題.8
| 御の字 |
| 納得はいかないが、妥協できる程度のこと。 |
問題.9
| 一期一会 |
| 一生に一度しか会ってはいけないという戒め。 |
問題.10
| 敷居が高い |
| 上品で高級すぎて入りづらいこと。 |
問題.11
| 琴線に触れる |
| 人の気に障って怒らせること。 |
問題.12
| 煮詰まる |
| 議論が停滞して進まなくなること。 |
問題.13
| 情けは人のためならず |
| 人に親切にすることは、その人のためにならないという意味。 |
問題.14
| 姑息 |
| ズルくて卑怯な人のこと。 |
問題.15
| 失笑する |
| あまりのひどさに呆れて笑いがもれること。 |
問題.16
| 流れに棹さす |
| 流れをせき止めて妨害すること。 |
問題.17
| やぶさかではない |
| しぶしぶ了承する、乗り気ではないが一応受ける。 |
問題.18
| 御用達(ごようたし) |
| 偉い人しか使えない特別な店のこと。 |
問題.19
| 破天荒 |
| 乱暴で危険な行動をすること。 |
問題.20
| 御利益(ごりやく) |
| 自分に都合のよい利益を得るための言葉。 |
答え合わせと解説
問題.1
| 雨模様 |
意味
「今にも雨が降りそうな空模様」という限定的な意味は誤りです。
もともと「雨が降っている、または雨が降り出しそうな状態」を幅広く指す表現でした。
現代では「降りそう」のニュアンスだけで理解されることが多く、イメージが狭く誤解されやすい言葉になっています。
語源と背景
「模様(もよう)」には〈物事の状態や変化の兆しが表面に現れているさま〉という意味があります。
天気を含め、場の雰囲気や進行具合など「事態の推移」を指す語でもあります。
そのため「雨模様」は「雨に関する様子・状態全体」という広い意味が原義でした。
「降っている」「降りそう」という複数の段階を含んでいたことがわかります。
誤用が広まった理由
気象情報番組で「明日は雨模様でしょう」と表現された際、多くの視聴者が「降りそう」という未来予測の意味で受け取ったことが大きな要因です。
テレビ・ラジオで使われた軽い意味合いがそのまま日常語に浸透し、「曇っていて今にも降りそう」という解釈だけが強く定着しました。
SNSで使う時の注意点
X(旧Twitter)やInstagramのキャプションで「雨模様」と書くと、人によっては「もう雨が降っている」と読み取る場合があります。
投稿者の意図が「曇り」なのか「降雨」なのか曖昧になるため、以下のように補足すると誤解されません。
・雨が降り始めそうな空
・小雨が降っているので雨模様
・夕方から本格的に雨になりそう
SNSは文字が短くコンテキストが省略されやすいため、「状況を一言添える」ことで確実に伝わる言葉になります。
問題.2
| 役不足 |
意味
「自分には荷が重い」という意味で使われがちですが、この解釈は誤りです。
「役不足」は本来、
与えられた役目が自分の能力より軽く、物足りないこと
を指します。
つまり、謙遜ではなく「もっと大きな役割を担当できる」というプラスの意味を持つ言葉です。
語源と背景
語源は「役(役割)に対して力量が余っている」という能楽や歌舞伎の表現から来ています。
特に舞台用語として「もっと上の役を任せてほしい」というニュアンスで使われました。
その歴史的背景の名残から、「役不足=力量が勝っている状態」という肯定的イメージが保持されています。
誤用が広まった理由
「不足」という語だけが独り歩きし、「足りない=能力不足」と誤解されました。
さらに就職活動やビジネス会話で慎重に話す人が「私には役不足で…」と誤用したことで、誤った意味が広く一般化しました。
ビジネスで使う時の注意点
面接・会議・メールなどで誤って使うと、「自分はもっと上をやれる」と強気に受け取られ、印象が悪くなります。
安全に使いたい場合は以下のように言い換えが無難です。
・(自信がない場合)自分には荷が重いかもしれません
・(挑戦したい場合)より大きな責任の仕事にも挑戦したいです
「役不足」は使いどころが難しいため、無理に使わずに言い換えた方が誤読を防げます。
問題.3
| 気が置けない |
意味
「遠慮が必要」「気を使うべき相手」という意味で理解されることがありますが、これは誤りです。
本来の意味は
気を使わずにいられる、心を許せる相手
です。
「置く」は「距離を置く」という意味を持つため、否定形になることで「距離を置かない=親しい」という意味になります。
語源と背景
「気(心)」を「置く(構える)」という古語的な表現に由来します。
つまり「気を構えない=気を抜ける相手」を指した心理的な距離感の言葉です。
江戸時代の書物にも「気が置けぬは友の徳なり」といった記録があり、一貫して「親しみ」「安心感」につながる肯定語でした。
誤用が広まった理由
「置けない」という否定が「気が休まらない」と誤解され、
「緊張する相手」
「遠慮が必要な相手」
という逆の意味で浸透したことが原因です。
現代では誤用の方が主流になりつつあり、辞書によっては「誤用」と注記しつつ併記するケースもあります。
日常会話での注意点
「気が置けない人」と言うと、人によっては「気を許せない人」という逆の意味で受け取る可能性があります。
誤解を避けたい場合は、以下のように置き換えても自然です。
・気を使わなくていい相手
・素でいられる相手
・気楽に話せる友人
褒め言葉として使うときほど、誤読されない表現の選択が重要になります。
問題.4
| 確信犯 |
意味
「悪いと分かっていながら、それをわざと行うこと」という意味は誤りです。
本来の「確信犯」とは、自分の思想・信念・宗教的・道徳的な信条に照らして正しいと確信して行う行為(犯罪や違法行為を含む)のことです。
つまり「悪いことだと分かっていてやる」のではなく、「自分の信念から見れば善だ」と本気で思っているところがポイントです。
語源と背景
元々は、刑法学や宗教・政治思想の文脈で使われた専門用語です。
「確信」を持って行う犯罪という意味で、特定の主義主張に基づいたテロ行為や政治犯罪などが典型例とされました。
ここでの「確信」は「悪事への確信」ではなく、「自らの正義への確信」を指しています。
誤用が広まった理由
日常会話では「確信=絶対にそうだと思っていること」というイメージが先行し、「悪いと知りながら故意に行う」という意味で使われるようになりました。
ドラマやワイドショーで「彼は確信犯ですね」と、単に「わざとやった悪い人」というニュアンスで使われたことも、誤用の拡大に拍車をかけています。
ビジネス・SNSで使う時の注意点
現代では誤用の方が浸透しているため、正しい意味で使っても伝わりにくい場面が多くなっています。
・悪いと知りながらやる → 「故意犯」「わざとやった」
・信念に基づいてやる → 「信念の人」「思想的な背景がある」
など、場面に応じて別の表現に言い換えた方が誤解を防ぎやすくなります。
問題.5
| 他力本願 |
意味
「自分で努力せず、他人任せにすること」という意味は誤りです。
本来の「他力本願」は、自力だけに頼らず、阿弥陀如来の「本願(救いの誓い)」に身を委ねるという、浄土真宗の教えを指します。
サボることでも、無責任でもなく、「人間の限界を認めた上で、他の力に身をゆだねる」という、非常に真面目な信仰のあり方を表しています。
語源と背景
「他力」は阿弥陀如来の力、「本願」は全ての人を救おうとする誓いを意味します。
親鸞の教えでは、自分の小さな善行だけで救いを求める「自力」ではなく、仏の大きな力を信じて生きる姿勢が重んじられました。
そこから「他力本願」は、信仰の文脈で長く使われてきた言葉です。
誤用が広まった理由
字面だけを見ると「自分以外の力に願いをかける」というイメージから、「人任せ」「他人頼み」という否定的な意味で使われるようになりました。
宗教的な背景を知らないまま、「自分では何もせず、他人に丸投げする」といったニュアンスで定着してしまったのです。
ビジネスで使う時の注意点
上司や取引先に対して「他力本願ですね」と言うと、「自分でやる気がない」という強い否定に聞こえます。
・他人任せにする
・自分で動かない
・丸投げしている
といった表現の方が、意図がストレートに伝わります。
「本来は仏教用語で…」という知識も持っておくと、コラムや雑談のネタとしても使いやすくなります。
問題.6
| おざなり |
意味
「何もせず放置すること」という意味は誤りです。
「おざなり」は、本来その場かぎりで間に合わせるように、いい加減に物事を行うことを指します。
やるべきこと自体は一応やっていますが、心がこもっていない・雑であるというニュアンスがあります。
語源と背景
江戸時代の茶坊主の言葉「御座なり」が語源とされ、「その場しのぎで取り繕う態度」という意味合いで使われました。
「形式だけは整えるが、中身は伴っていない」「とりあえずやった風に見せる」というイメージです。
誤用が広まった理由
「なおざり」と混同され、「放置する」「何もしない」といった意味で理解されるようになりました。
実際には、「おざなり=雑にやる」「なおざり=やるべきことを放置する」と、似ているようで違う表現です。
日常会話での注意点
人に対して「おざなりだ」と言うと、
「テキトーにやっている」
「真剣さがない」
と強く批判する響きがあります。
ビジネスでは、「形式的になっているように感じます」「形だけになっていませんか」など、少し柔らかい言い方にすると角が立ちにくくなります。
問題.7
| なおざり |
意味
「形だけ一応やっておくこと」という意味は誤りです。
「なおざり」は、本来本来すべきことを、いい加減なまま放置すること・おろそかにすることを指します。
「やるべきなのに、ほとんど手つかず」「気に留めないまま放っておく」というニュアンスです。
語源と背景
「なほ(猶)+ざり」が語源で、「そのままにしておく」という意味から、「放置しておろそかにする」という使い方が広まりました。
「軽視」「無関心」といった心理的な距離の長さがにじむ表現です。
おざなりとの違い
・おざなり:一応やるが、雑で形だけ
・なおざり:そもそも真面目に取り組まず、放置に近い
という違いがあります。
ビジネスでの注意点
報告書や会議で「なおざりになっている」と言うと、かなり強い批判になります。
改善を促したいときは、
・十分に着手できていない
・対応が後回しになっている
など、少しトーンを落とした表現にすると、受け取りやすくなります。
問題.8
| 御の字 |
意味
「納得はいかないが、妥協できる程度のこと」という意味は誤りです。
「御の字」は、本来このうえなくありがたい・十分すぎるほど満足であるという、かなり強い肯定表現です。
「これなら御の字だ」は、「文句なしにありがたい」「望んでいた以上だ」というニュアンスを含みます。
語源と背景
「御」は尊敬や丁重さを表す接頭語で、「御の字」は「“御”という字を付けたいほどありがたい」というところから生まれた言い回しです。
「御礼」「御礼状」など、感謝や敬意の文脈で使われる「御」と同じイメージを持っています。
誤用が広まった理由
「まあ御の字だね」という軽い言い方から、「そこそこ」「妥協ライン」というニュアンスにすり替わってしまいました。
しかし、元々は「十分すぎるほど良い」という意味なので、「妥協」というより「上出来」に近い言葉です。
日常会話での注意点
「この結果なら御の字だよ」と言ったとき、相手は「本当に満足してくれている」と受け取るのが本来の意味です。
「妥協」として使うなら、
・このくらいなら良しとしましょう
・ギリギリ合格ラインですね
など、別の表現を使った方が誤解がありません。
問題.9
| 一期一会 |
意味
「一生に一度しか会ってはいけないという戒め」という意味は誤りです。
「一期一会」は、一生に一度きりかもしれない出会いを大切にする心構えを表す言葉です。
「今この瞬間の出会いは二度と同じ形では訪れない」という意識から、「目の前の相手を大切にする」という前向きなメッセージが込められています。
語源と背景
茶道の世界で広まった言葉で、千利休やその弟子たちの思想と深く結びついています。
一回一回の茶会を「これが最後の機会かもしれない」と考え、亭主も客も真剣に向き合う姿勢を表しました。
誤用が広まった理由
「一生に一度」というフレーズだけが切り取られ、「二度と会えない」「会ってはいけない」という極端な解釈が生まれました。
恋愛ドラマや歌詞の中で、別れの象徴として扱われることが多く、「さよならの言葉」のようなイメージが付いたのも一因です。
ビジネス・日常会話での使い方
・今日のプレゼンは一期一会のつもりで準備しました
・お客様との出会いは一期一会だと思っています
など、真剣さや感謝を伝えるフレーズとして用いると、ポジティブな印象を与えられます。
問題.10
| 敷居が高い |
意味
「上品で高級すぎて入りづらい」という意味は誤りです。
「敷居が高い」は、本来不義理や迷惑をかけた負い目があって、その家に行きにくい・顔を出しづらいという意味です。
値段や高級感とは直接関係がありません。
語源と背景
家の入り口にある「敷居」は、「人の家を訪ねること」の象徴でした。
そこから「顔向けしづらい相手の家の敷居はまたぎにくい」という感覚が、「敷居が高い」という表現に結びついていったとされています。
誤用が広まった理由
「高い」という言葉から、「ハードルが高い」「値段が高い」と連想され、高級店や高級旅館のイメージと結びついてしまいました。
今では「高級すぎて入りづらい」という意味で使う人の方が多数派になっています。
ビジネスでの注意点
店やサービスの紹介文で「敷居が高い」と書くと、「お客様を遠ざけるような表現」にもなりかねません。
・高級で入りづらい →「高級感があって特別な日向き」
・初めての人は入りづらいかもしれません →「落ち着いた雰囲気で、静かに過ごしたい方におすすめ」
など、ポジティブな言い換えを検討した方が安全です。
問題.11
| 琴線に触れる |
意味
「人の気に障って怒らせること」という意味は誤りです。
「琴線に触れる」は、本来人の心の奥にある繊細な感情に響き、深い共感や感動を呼び起こすことを意味します。
「怒らせる」のではなく、「心を揺さぶる」「感動させる」というポジティブな表現です。
語源と背景
「琴線」は、琴の弦のことです。
人の心を琴にたとえ、弦が震えるように感情が震える様子を表した詩的な表現です。
文学作品や評論などで、音楽・映画・文章などが「人の心の琴線に触れる」と描かれてきました。
誤用が広まった理由
「神経に触る」「逆なでする」といったマイナス表現と混同され、「怒りのスイッチを押す」という意味で使う人が増えました。
「触れる」という言葉から、「地雷を踏む」「怒らせる」といった連想が働きやすいのも一因です。
SNSでの使い方
・このセリフ、本当に琴線に触れた
・被災地のニュースが琴線に触れて、思わず涙が出た
など、「心を揺さぶられたとき」に使うと本来のニュアンスに近くなります。
問題.12
| 煮詰まる |
意味
「議論が停滞して進まなくなること」という意味は誤りです。
本来の「煮詰まる」は、議論や検討が進んで、結論に近づいている段階を指します。
料理で「煮詰める」と味が濃くまとまるように、話し合いも内容が濃くなり、最終段階に差しかかっているイメージです。
語源と背景
料理用語として、汁気が少なくなって味が決まる状態を「煮詰まる」と言いました。
そこから転じて、「議論が深まり、結論が見えてくる」状態を表す比喩表現として使われるようになりました。
誤用が広まった理由
「頭が煮詰まる」「考えが煮詰まっている」という言い方から、「行き詰まる」「どうにもならない」という意味と混同されるようになりました。
現在では、「行き詰まる」の意味で使う人も多く、辞書によってはその用法も併記されています。
ビジネスでの注意点
会議で「だいぶ煮詰まってきましたね」と言ったとき、「結論に近づいている」と受け取る人と、「行き詰まっている」と受け取る人に分かれます。
誤解を避けたいときは、
・議論が深まって、結論が見えてきました
・検討が行き詰まってきています
のように、言いたい方向性をストレートに表現した方が安心です。
問題.13
| 情けは人のためならず |
意味
「人に親切にすることは、その人のためにならない」という意味は誤りです。
本来の意味は、人に親切にすると、その善行は巡り巡って自分に返ってくるというポジティブな教えです。
「人のためにする“情け”は、結果的には自分のためにもなる」という、人生訓に近い諺です。
語源と背景
江戸時代の道徳書や説話集にも登場する古い諺で、「情け(思いやり・親切)」を人のために惜しまず使うことの大切さを説いています。
「ならず」は「…だけではない」という意味を持ち、「人のためだけではなく、いずれ自分にも返ってくる」という構造になっています。
誤用が広まった理由
現代語の感覚だと「〜のためならず=〜のためにならない」と誤解しやすく、文字通りに受け取ってしまう人が増えました。
そこから「甘やかすのは良くない」という意味だと誤って説明するケースが生まれ、誤用が定着していきました。
日常会話での使い方
本来の意味を踏まえると、
・困っている人を助けることは、自分の人生も豊かにする
・親切は巡り巡って自分に返ってくる
といった場面で使うと、前向きなメッセージとして伝わりやすくなります。
問題.14
| 姑息 |
意味
「ズルくて卑怯な人のこと」という意味は、本来の意味とは異なります。
「姑息」は、もともと一時しのぎでその場をやり過ごすことを意味する言葉で、「悪質」「卑怯」という価値判断は含まれていませんでした。
語源と背景
漢字の「姑」は「しばらく」「一時的な」、「息」は「やすむ」を意味し、「姑息」は「一時的に休めるようにする」「仮の手当て」といったニュアンスを持ちます。
医療用語でも「姑息的治療」は「根本治療ではなく、症状を和らげるための対症療法」という意味で使われます。
誤用が広まった理由
「一時しのぎでごまかす」という意味から、「ごまかしてばかりいる=卑怯」という価値判断が上乗せされ、「姑息=ズルい」というイメージが強くなりました。
現在では「卑怯な」「ズルい」という意味での使用が一般的になっています。
ビジネス・メディアでの注意点
ニュース記事や評論で「姑息な手段」と書くと、多くの読者は「卑怯な手段」と理解します。
医療や専門的な文章では、本来の「一時しのぎ」という意味も残っているため、文脈に合わせて注意深く使う必要があります。
問題.15
| 失笑する |
意味
「あまりのひどさに呆れて笑いがもれること」という意味は誤りです。
「失笑する」は、思わず吹き出してしまうほどおかしいさまを指し、本来は「こらえきれず笑ってしまう」というニュアンスに近い言葉です。
そこに必ずしも「バカにする」「嘲笑する」といった悪意は含まれません。
語源と背景
「失笑」は「笑いを失う」ではなく、「思わず笑いがこぼれてしまう」という意味の熟語です。
古い辞書にも「思わず笑い出すこと」といった説明が見られます。
誤用が広まった理由
「失言」「失態」など、マイナスの出来事につく「失」のイメージから、「笑いものにする」「バカにして笑う」という意味にすり替わっていきました。
マスメディアで「ネット民から失笑を買っている」のように、嘲笑の意味で用いられたことも影響しています。
文章で使う時の注意点
相手を傷つけたくない場合、「失笑を買う」という表現は避けた方が無難です。
・思わず笑ってしまう
・苦笑が漏れる
・思わず吹き出してしまった
など、状況に合わせて別の表現を選ぶと誤解されにくくなります。
問題.16
| 流れに棹さす |
意味
「流れをせき止めて妨害すること」という意味は、本来の意味とは逆方向です。
「流れに棹さす」は、物事の良い流れに乗って、さらに勢いをつけることが原義です。
「棹(さお)をさす」のは、舟を川の流れに乗せて進めるための動作であり、「逆らう」のではなく「うまく利用する」イメージです。
語源と背景
川を下る舟に棹をさして舵を取る様子から、「流れに乗って進む」ことのたとえとして生まれました。
そこから、「世の中の風潮や時流にうまく乗る」「追い風を受ける」といった意味で使われてきました。
誤用が広まった理由
「流れに逆らう」「水を差す」といった表現との混同により、「妨害する」「止める」という逆の意味で理解されるようになりました。
現在では辞書でも、誤用の広がりを受けて「物事の進行を妨げる」という意味を併記するケースもあります。
ビジネスでの注意点
・良い流れに乗る →「追い風に乗る」「波に乗る」
・邪魔をする →「水を差す」「ブレーキをかける」
と分けて使うと、誤解が少なくなります。
特にプレゼンや文章では、誤用が定着しつつある言葉ほど、シンプルな別表現に置き換える方が安全です。
問題.17
| やぶさかではない |
意味
「しぶしぶ了承する、乗り気ではないが一応受ける」という意味は誤りです。
「やぶさかではない」は、本来進んでそうしたい・喜んでお受けしたいという前向きな気持ちを含む表現です。
「努力を惜しまない」「喜んで協力したい」というニュアンスに近く、必ずしも消極的ではありません。
語源と背景
「やぶさか」は「物惜しみする」「しぶる」という意味の古語です。
そこに否定の「〜ではない」が付いて、「しぶることはない=進んで行う」という意味になりました。
丁寧でやや改まった言い回しとして、ビジネス文書やスピーチで使われます。
誤用が広まった理由
否定形が二重になっているため、「あまり乗り気ではないが、断りきれない」というニュアンスだと誤解されました。
また、実際の会話では「やぶさかではないですが…」と前置きしてから、条件や懸念を述べるパターンも多く、「お世辞的な断り文句」として理解されてしまった面もあります。
ビジネスでの使い方
・ご協力することはやぶさかではありません
・微力ながらお力になれることがあれば、やぶさかではありません
といった形で使うと、「前向きに検討したい」というニュアンスになります。
ただし誤解を避けたい場合は、「喜んで協力します」「できる限りお手伝いしたいです」といった平易な表現も有効です。
問題.18
| 御用達 |
意味
「偉い人しか使えない特別な店」という意味は誤りです。
「御用達」は、本来特定の公的な機関や身分の高い人物から、公式に取引を任されている店を指す言葉です。
「宮内庁御用達」「◯◯藩御用達」などがその代表例です。
語源と背景
江戸時代には、幕府や大名家に物資やサービスを納める商人が「御用商人」と呼ばれ、「御用達」は「ご用命をたまわる店」という意味合いで使われました。
現代日本でも、「宮内庁御用達」のように、特定の機関に公式に納めている老舗ブランドがあります。
現代での意味の広がり
現在では、「特定の人に愛用されている店・ブランド」という意味でも使われます。
・うちの家族御用達の洋菓子店
・近所の人御用達のスーパー
など、「よく使っている」というニュアンスの、くだけた使い方も一般化しています。
広告・紹介文での注意点
「◯◯御用達」という表現は、「特定の人に愛されている」という意味でキャッチコピーとして使いやすい半面、「本当に公式な称号かどうか」が問題になる場合もあります。
特に「宮内庁御用達」などの由緒ある肩書きは、実際の認定や歴史を伴うため、勝手に名乗ると誤解やトラブルのもとになります。
問題.19
| 破天荒 |
意味
「乱暴で危険な行動をすること」という意味は誤りです。
「破天荒」は、本来今まで誰も成し遂げたことがないことを初めてやりとげること、あるいはその人を指します。
「常識外れ」というより、「前例のない偉業」「型破りな功績」というプラスの意味合いが強い言葉です。
語源と背景
中国の故事が由来で、「天荒」は「まだ開拓されていない土地」「誰も手をつけていない領域」を意味しました。
それを「破る=切り開く」ことから、「未踏の領域を切り開く」「前例のないことを成し遂げる」という意味になりました。
誤用が広まった理由
「天を破る」「荒れる」といった漢字のイメージから、「乱暴」「無茶」「ハチャメチャ」といった連想が働き、「破天荒な人=常識外れの問題児」と誤解されるようになりました。
バラエティ番組などで「破天荒キャラ」と紹介されるタレントのイメージも、誤用の定着に影響しています。
メディア・SNSでの使い方
・史上初の快挙 →「破天荒の偉業」
・前例のないチャレンジ →「破天荒な試み」
など、ポジティブな意味で使うと本来のニュアンスに近くなります。
「問題児」「やんちゃ」という意味で使いたい場合は、「自由奔放」「型破り」など、別表現を選ぶと誤解が減ります。
問題.20
| 御利益(ごりやく) |
意味
「自分に都合のよい利益を得るための言葉」という説明は、本来の意味を大きく狭めています。
「御利益」は、神仏から授かる恵み・加護・めぐみ全般を指す言葉です。
お金や仕事だけでなく、健康・家内安全・縁結びなど、幅広い「良い結果」が含まれます。
語源と背景
「御」は尊敬や敬意を表す接頭語、「利益」は「よい結果」「恵み」を意味します。
神社仏閣にお参りし、その後で病気が治ったり、災難から守られたりしたときに、「御利益があった」と表現してきました。
現代でのイメージの変化
現代では、情報番組や雑誌で「金運アップの御利益」「恋愛の御利益」といったフレーズが多用され、「願いを叶えてくれるご利益スポット」のように、やや軽いイメージで使われることも増えました。
この影響で、「自分の願いをかなえるためのお得ワード」のような印象を持つ人もいます。
SNS・ブログでの使い方
・御利益を結果だけとして煽りすぎると、神社仏閣を「開運グッズ」のように扱っている印象を持たれることもあります。
信仰や伝統文化への敬意を踏まえると、
・「御利益がある」とされる
・「◯◯の御利益で知られる」
・「◯◯を祈願する参拝者が多い」
といった表現でバランスを取るのが安心です。
語彙力をアップするなら
今日のクイズをきっかけに、語彙の幅をさらに広げたい方へ。
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まとめ
今回取り上げた20個の日本語は、どれも日常でよく耳にするものばかりです。
そして、すべての言葉が、世間では本来とは少し違う意味で使われている表現でした。
いじわるな問題にしてしまってすみません。
でも、そのぶん「え、そうだったの?」という発見があったのではないでしょうか。
言葉の意味は時代とともに変化します。
誤用が広まり、辞書が後から現代的な使われ方として追加することも珍しくありません。
だからこそ大切なのは、
「本来の意味」と「今の使われ方」
この2つを知っておくこと。
メール、SNS、会話、ビジネスシーン……どんな場面でも、ちょっとした誤解を避けられ、文章の説得力や表現の幅も大きく広がります。
気になる言葉があれば、ぜひ今日から少しだけ意識してみてください。
あなたの日本語は、さらに豊かで読みやすく、伝わるものになります。
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